皮膚に赤みを呈する原因は様々です。
なぜその赤みが生じているのかによって治療方法が異なります。
シミと同じで『とりあえずレーザーをすれば解決』ではありません。
赤み・血管について
顔の赤みを呈する疾患
レーザー治療の対象
- 毛細血管奇形(単純性血管腫):保険適用
- 乳児血管腫(いちご状血管腫):保険適用
- 毛細血管拡張症:保険適用
- 老人性血管腫(赤いぼ)
- ニキビ、赤いニキビ痕
難しいのは、たとえレーザーが有効な症状であっても、シミよりもレーザーの治療効果が一定せず、思ったように効果が出ない場合も多くあることです。
その原因としては、血管の太さ、量、深さ、血流の速度、皮膚の厚さ、体の部位など、さまざまな条件がレーザーの治療効果に関わっているためです。
毛細血管奇形(単純性血管腫)
生まれつきの赤アザです。基本的に拡大や消退することはありません。年齢とともにやや厚みが出たり、一部腫瘤を形成することもあります。
早期からのVビームなどのレーザー治療が有効です。ただし、レーザー治療をしても完全に赤みが消えることは難しく、赤みを薄くすることが目標となります。
レーザーで薄くなった部分が何年もしてから再び濃くなることもあり、その場合には再治療を検討します。ただし腫瘤を生じた場合には手術などによる治療が必要です。
なお、Sturge-Weber症候群、Klippel-Trenaunay-Weber症候群も毛細血管奇形(単純性血管腫)を合併する疾患です。
乳児血管腫(いちご状血管腫)
生後1ヵ月以内に生じる良性の血管性腫瘍です。およそ1歳まで急速に増大し、その後5~10歳にかけて徐々に平坦化し赤みがなくなっていきます。
周囲の皮膚と完全に同じようには治らず、毛細血管拡張、柔らかい膨らみ、しわを伴う瘢痕などが残ることがあります。自然に薄く平坦になるため、生命や機能に問題をきたす部位に生じたもの以外では無理に治療をする必要はなく、患者(ご両親)と医療者がよく相談して治療をするかを決める必要があります。
レーザー治療をするメリットは、早く赤みが薄くなる、引っ掻いて出血させる心配がなくなる、ご家族の精神的苦痛を早めに軽減することです。デメリットとしては、痛みがある、通院が必要、治療後の管理が必要、副作用を生じる可能性があることです。
内服薬(β遮断薬:プロプラノロール)での治療もあります(約半年間)。目・鼻・口唇などの生命や機能に重大な問題をきたす部位に生じた場合、顔面で広範囲、増殖が急激で潰瘍を形成する場合、などでは内服薬での治療が必要です。通常、内服初期には病院に入院の上、低血圧、徐脈、気管支痙攣、低血糖などの副作用を管理しながら内服します。
毛細血管拡張症
小児の頬に生じる星芒状血管腫(くも状血管腫)、顔面(頬や鼻)・下腿などの毛細血管拡張にはレーザー治療が有効です。
老人性血管腫(赤いぼ)
20歳代から顔、首、体、腕などに生じる鮮紅色の米粒大のできものです。毛細血管が増殖・拡張して生じます。別名ルビースポットという名前もあります。放置しても問題ありませんが、自然に消えることがないため、見た目や引っかかりが気になる場合は治療をおすすめします。
当院ではVビームⅡによるレーザー治療をしています。 赤みでお悩みの方はお気軽にご相談ください。