抗酸化(還元)作用
ビタミンCの強力な抗酸化(還元)作用は、エンジオール基という構造に由来します。
水に溶けたビタミンCはエンジオール基の水酸基(-OH)から水素イオンを1個放出したアスコルビン酸モノアニオンとして存在します。
ビタミンCは電子(e-)を失う酸化反応、すなわち相手を還元する反応は2段階進みます。つまり、相手に2つ電子を与えることができるため、抗酸化(還元)力が強いといわれます。2つ電子を与えるとアスコルビン酸モノアニオンは、デヒドロアスコルビン酸になります。一部は還元型グルタチオン(GSH)から電子をもらってアスコルビン酸モノアニオンに戻って再利用されます。
ビタミンCは、スーパーオキシドラジカルやヒドロキシラジカルといった活性酸素種(ROS)に電子を与えて、水にして消去します。
ビタミンCはFe3+に電子を与え還元し、Fe2+にします。Fe2+は酸素に電子を与え、スーパーオキシドラジカルが発生します。スーパーオキシドラジカルはSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)により過酸化水素(H2O2)になります。生じたH2O2は血液中では、血球細胞内や血漿中のカタラーゼや赤血球内に存在するグルタチオンペルオキシダーゼにより水と酸素に速やかに分解されます。
抗がん作用
血液中でビタミンCが高濃度になると、腫瘍細胞外の間質液へも高濃度のビタミンCが移行します。間質液中でビタミンCは酸化されて(相手を還元して)電子を失い、最終的にH2O2が発生します。
H2O2は細胞膜を容易に透過するため、多くの腫瘍細胞はカタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの量が少ないため、H2O2による障害を受けやすく、細胞内でミトコンドリアが障害を受けてATP産生が減少し、細胞死が誘導されると考えられています。
コラーゲンの重合
ビタミンCはコラーゲンの水酸化に働くFe2+(2価の還元型金属)を維持する補因子として働きます。ビタミンCがないとコラーゲンがあってもキメの粗い肌になります。
アドレナリンの合成
ビタミンCは副腎に特に多く含まれ、ストレス緩和のために体内で分泌されるアドレナリンの生成に関わっています。そのためビタミンCが少なくなるとうつ傾向になります。
ビタミンC欠乏による出血傾向・壊血病
ビタミンCが欠乏すると出血傾向(点状出血、出血斑)が現れます。ビタミンCはコラーゲンの重合に関わるので不足すると血管がもろくなるためです。重度になると壊血病になります。世界ではいまだにビタミンC摂取不足による壊血病の患者さんが報告されています。
鉄の吸収
鉄は3価イオン(Fe3+)では吸収されにくいため、2価鉄イオン(Fe2+)として小腸で吸収されます。ビタミンCがFe3+をFe2+に還元して鉄イオンの吸収を促進します。